中学・高校時代は、芽生えはじめた自我を個性化していく大切な時代です。
ところが現在学校で行われている主要科目だけでは、情報や技術力は増えても、肝心な「自分の考えや感じ方」を育
てることについては、置き去りにされがちです。
受験で作文や小論文を課される人にとってはさらに、まさにこの「自分とは何か」を見つめてこなかったことが、大
きな仇になります。それなしに自分の考えなり感じた事なりを表現するのは、軸のないコマを廻すようなものです。
この講座は小論文を教えたり、添削するものではありません。
しかし、すべての文章の基礎になる「自分の体験を綴る作文」を通して、読む人が身を乗り出し、感動を伝えること
ができてきたら、そのとき「考える力」「表現力」「自分なりの感性」を手に入れ始めている自分に、気づくことで
しょう。
昨日、私はベースを買ってもらいました。赤い色のベースや、白色のベースがありました
が、私はその中から黒色のかっこ良いベースを買ってもらいました。
アンプにつないで弾いてみると、アンプから低い音が部屋に響きました。
だんだん楽しくなって時間も忘れて弾いていたらお母さんに怒られました。
「あともう少し」明るかった管内の照明がすべて消えた。館内にいる全員が息を飲む。
すると前の方から悲鳴に近い歓声の声が聞こえた。
準備が終わったのか、一斉に明かりがつき、それと同時に曲の前奏が始まった。
私の心臓はさらに早く動く。
「あともう少し」 ヴォーカルが歌い出す。それと同時に私は周りの人と同じように、飛んだり、歌に合わせて踊ったりする。
この「あと少し」の感情は、私にとってこの時でないと味わえないものなのだ。
朝まだ空も暗い時間に目が覚めた。
「そうか、今日もないのか」
仮引退する前は、毎日この時間に起きていた。また眠りにつく。少し寝たあと、親の声で起き上がる。まだなれない。
リビングにつくと、部屋が暖かい。ご飯をテレビを見ながらゆっくりたべた。
部屋の時計が、7時15分をさしている。
「毎日、この時間に出ていったのに」と、お母さんが言った。
確かにそうだ。毎日毎日、時間に追われつつ、なにがなんでも遅刻しないように、この時間に家を出ていたのだ。まだ一週間もたっていないのに、変わったことに、まだなれない。
8時15分。家を出た。まわりには、滝紅生がたくさんいる。いつもは誰にも会わなかったのに。風がつめたい。心の中がすっぽり穴が開いているみたいだ。
日常が変わっていく。
中学を卒業したら私は、どうなってしまうのだろう。日常の変化に、ついていけるのだろうか。
期待に胸がふくらんでいる。